8月25日(月) 降ったり止んだり
涼しい日が続いている。
昼前、おかーさんと父の散髪。髪の生え際を揃えるのに電気バリカンを使う。まだ、使い道はあるのだ。ひょっとしたらココにも使えるかも知れない。

昼食はソース焼きソバ。海老とキャベツ、しめじ、玉ねぎを入れて。海老がプリプリして美味しい。焼きソバももっちりと噛み応えが丁度よく、ソース味も濃すぎず、今日は満点。
午後3時より渋谷のカラオケボックスでカルテットの練習。いい年をした男四人でカラオケに入るのは場違いな思い。カウンターの女の子の目が気になる。
カラオケはマイクが響くので、鼻歌程度に歌っても上手に聞こえる。むしろ、声を張り上げない方がきれいに入る。カルテットのハーモニーもマイクを使って少しエコーを効かせれば多少音程が狂っていてもハモって聞こえる。こんなところだけで練習してたら、他では歌えなくなっちゃうだろうな。

どのボックスも音量をガンガンに上げ、ドアを通して聞えるのでボックスの中でも歳末の商店街みたいに騒々しい。でも、自分たちが歌い出すと、その音が狭い2畳ほどのボックスに充満して、周りの音は全く気にならない。作りがいいんだか、悪いんだか。
8月26日(火) 曇り
相変わらず涼しい。
カルテットの録音を聴き、パートの変更を試すことにする。一部楽譜を歌いやすいように修正する。
午後、父のところに看護士さんが2回目の訪問。
前回、看護士さんの意見が気に入らず言うことなすこと全てに難癖をつけてさんざん困らせた挙句、主治医の先生に、もう看護士はいらないと訴えた。
介護保険の手続きでは、医者が看護方針を訪問看護サービスの会社に指示することになっている。サービスの中止は当然医者の同意が必要である。先生は8月の2回が終わったらそれで中止にするよう、サービス会社の方に連絡すると言っていたが、今日来た看護士さんの話では、何の連絡もなかったと言う。こちらから先生にもう一度お話しするということになった。
父は自分の意見に反対する者は、頭が悪いといってバカにして遠ざけ、同調する人は頭がいいといって歓迎する。若い時からそういう傾向がある。家族にも自分の意見を押し付けるので、アタシなんぞは反発してわざと反対意見を言う方が多かった。
訪問看護士に対しても、生活習慣のアドバイスには耳を傾けない。風呂は寒いから出来るだけ入りたくない、入るときはお湯を43℃にしている。看護師さんが身体を清潔に保つためにもなるべくお風呂に入るほうがいい、でもお湯の温度は43℃では高すぎて心臓に負担がかかるからせめて41℃にさげましょう、と勧めても、いちいち反論し、ああ言えばこう言う。
介護ヘルパーさんの言うことも、おかーさんの言うことも、誰の言うことも素直に聞き入れてくれない。みんな、上祐さんと呼ぼうと言っている。

夜はおかーさん手作りのハヤシライス。

8月27日(水) うす曇り
少し暖かくなった程度で、夏らしくない。
午前中、主治医のところへ行き、訪問看護の中止をお願いする。先生は父からの不満は聞いて、看護サービスの会社に連絡するとは言っていたが、完全に忘れていた。改めてお願いすると、先生は事務の女性に関係書類を持って来させて、あれこれ質問している。二人の会話を聞いていると、どうも先生の方がボケていて、繰返し繰返し説明を聞いてもなかなか事の経緯が分らない。事務の女性はイライラして少し腹を立てていたようだった。なんだか、ここもウチと似たような状況なんだな、と気の毒に思う。先生も88歳だから、物忘れが増えても仕方のない年齢だ。

父と先生とは話が合うようだ。それぞれが一方的に自分の言いたいことを言っているだけだが・・・・・。
病院の帰りに床屋に寄る。夫婦と息子の三人で店に出ている。床屋さんというのは背の低い人が多い。昔、下北沢に全国理髪師コンクールに優勝した床屋さんがいたが、お客さんの髪を刈るときは小さい体で蝶のようにヒラヒラと店内を舞っていた。やはり、髪を刈るときの目の高さは、一定の範囲内にないとやりにくいのだろう。2メートルもある床屋さんでは、頭の横の方を刈るのにしゃがまなければならない。あるいは床から1メートル半足を延ばせる椅子を特注するかだ。
いずれにしても、この行きつけの床屋さんは見事なほどハサミ捌きが軽やかで、触っているのか触っていないのか分らないくらいだ。初めてこの店に行った時に、「あまり短く刈らないで」とだけ頼んで、上手に刈ってくれた。それ以来、アタシが椅子に座ると「いつもの通りですか?」と聞くならわしになっている。おもむろに「うん」と答えるとキチンと前回と同じように刈りそろえてくれる。
カナダのトロントにいた時に困ったのは、床屋である。何と言って頼めば良いのか分らない。へたに、"make it short" とか、"leave it long" などと言うと、角刈りにされたり、全然刈らなかったりされるやも知れない。英語はおぼつかないけど、髪の毛は伸びる。意を決して店に入り、自分の順を待っている間、他の客の言っていることを聞き取ろうとするが、よく聞こえない。ついに、椅子に座る。店員が何かゴチョゴチョ言って聞くが、まるで分らない。聞き返しても分るとは思えない。仕方なしに、ニコッと笑って鷹揚にうなずく。相手はちょっと考える様子で、それから「オーケー」と言って散髪の準備を始める。ぶざまな髪形になることもなく無事に散髪できたというのは、幸運だったの一言に尽きるだろう。

8月28日(木) 曇りのち雨
朝、父より電話。ネットで高齢者向け「高カロリーで消化の良い食事」に関する本を探してくれと言う。何かイヤな予感。そろそろ今の食事に飽きが来る頃だし、難しい料理を作れと言われても困る。
父は10年ほど前自分の家から隣の我が家に食事に来るようになってから、テレビでNHKの「きょうの料理」をまめにチェックしていた。ある時、中華料理の豚の角煮を食べたいと言い出した。作り方は簡単で、ビデオに撮ってあるという。王馬熙純さんの東坡肉(豚の角煮)。本格的だ。半日がかりで作る料理だ。

さすが、手間暇かけただけあって美味しい。多めに作って自分たちも食べ、父にも出した残りは冷凍にして取って置いた。父は黙って食べ、何も言わなかった。つまり、気に入らなかったのだ。冷凍庫の分は大分経ってから自分たちで食べたが、それでもなお感激するほど美味しかった。
父はネットで調べてあげた本ではまだ納得できず、自分でケアマネジャーに電話して介護食の本を借りることにしていた。辰巳芳子さん監修の「心のこもった介護食」なんて本が出てこないことを祈る。
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