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アメリカの独善と良心

.09 2008 シニア日記 comment(2) trackback(0)
8月7日(木) 曇りがち、蒸し暑い。

近所のスーパーにおかーさんだけが買い物に。今日は一緒に行かない。死んだお袋が、いつも二人づれで歩く夫婦を見ると、「あそこはいつも金魚のフンみたいに旦那がくっついている」とよく言っていた。多分今日も天国から見ていて、「おや? 今日はフンがくっついて来ないね」なんて言ってるんだろう。

スーパーで犬友達の I さんに出会ったおかーさんが、こんな話を聞いてきた。I さんの言うことには、

「うちのユンカースがネ、こないだ亡くなりまして・・・・、ええ、大往生です。

ユンちゃん

戒名は自分で考えてつけたんですけどネ。お坊さんに弔ってもらって戒名のお札を書いてもらったら、余り上手じゃなくて・・・・・。これなら自分で書いた方がましだってワイフに言ったら、別にそれでいいんじゃない? って言われちゃいました。遺骨は自宅に置いといて、将来自分と一緒の墓に入れるつもりなんですよ」

ユンカースとは I さんのところのミニチュア・シュナイダー。I さんはユンちゃんを溺愛していた。ユンちゃんは犬見知りが激しくてすぐ吠えかかるので、他の犬が来ると I さんはユンちゃんを抱き上げ、頬ずりしながら「吠えちゃダメだよ~」と言いながら通り過ぎる。I さんはいつも和服姿だ。当然足袋に草履だ。眼鼻立ちの整った男前である。丸顔でひげが濃いので、ちょっとヤッコダコのヤッコさんを思い起こさせる。すこぶるつきの博識である。ユンちゃんの死を報告する小文にもこんなことを書いている。
「最後の日まで、立ち上がろうとしたり、必死に食べ、飲もうと努力しているのが判然(はっきり)と判り、振舞いが毅然としていました。日露戦争の首山堡(しゅざんぽ)で戦死した橘(たちばな)大隊長の様に、迫って来る死と真摯(しんし)に戦う姿勢を、捨てませんでした。」

ユンちゃんはうちで前に飼っていたシーズーの太郎とは天敵ともいえる間柄。100メートル以上離れていてもお互い気配を察して、ガウガウといきり立ち始める。姿が見えなくてもガウガウが始まる。さては、と次の四つ角で横の道を見ると、はるか彼方を過ぎ去っていくユンちゃんとIさんの姿を発見する。

080807a.jpg




夜8時からNHKスペシャル「解かれた封印 ~米軍カメラマンが見たNAGASAKI~」を見る。

米軍のカメラマンとは、昭和20年9月に海軍のカメラマンとして原爆投下後の長崎に入ったジョー・オダネル氏。軍規を犯して内密に自分のカメラでおよそ30枚の写真を記録した。その中に亡くなった幼い弟の亡きがらを背負い火葬場の前にたつ「焼き場に立つ少年」と題された写真がある。唇を噛みしめじっと前方を見つめる少年は何を思ったのだろうか・・・・?
原爆の熱光線で顔の凹凸も皮膚もなくなった被爆者から、「あんたは敵だろう、早く殺してくれ」と訴えられ、オダネル氏は言葉を失ってその場を逃げるように去ったという。余りにも悲惨な状況に、軍の決まり切った撮影だけでなく、心を動かされた場面を隠れて撮影した。原爆がもたらす悲惨さを目撃した彼は、アメリカの原爆投下の正当性に疑問を持つようになる。
この極度に悲惨な現場を目撃したことは、彼の精神を傷めつけ、戦後は思い出すことを拒絶するようになる。写真のネガはトランクに封じ込められ屋根裏部屋に43年間置き放しにされた。その間に皮膚癌になったり、放射線の影響と思われる症状が頻発するようになり、原爆が長期にわたって人間を苦しめるという事実を自分の身体を通して体験し、反核運動を始める。原爆を使用したことは、いかなる理由があっても過ちであり、人類の歴史の中で絶対に繰り返してはならない過ちだと世間に訴えた。
彼は写真を公表し、原爆の恐ろしさを訴えようと、講演会を開いたり、出版を試みる。
しかしアメリカ国内の反応は冷たく、限られたところでしか講演できず、すべての出版社が書物にすることを断った。さらに、彼の活動を非難する嫌がらせや圧力が彼に降りかかるようになる。アメリカの世論は原爆投下は正当な決断であり、それで戦争の早期終結につながり、アメリカ兵の無駄な死を避けることができた、ということでコンセンサスが形成されている。それに反対の意見をいう人間は売国奴とみなされ、袋叩きにあう。去年8月9日、85歳で亡くなるまでオダネル氏は孤独な戦いを続けた。

そしてその息子が父の歩んだ道を引き継ぎ、また苦難な道を歩き始めた。

日本で知り合ったアメリカ人の友人は沢山いるが、彼らに原爆投下は正しかったのか、と直接聞けば、みな「ノー」と言うだろう。彼らは日本に滞在したことがあり、日本人を人間として知っているから、原爆を投下すればこういう人間に地獄の苦しみを与えるということを、実感として理解できる。
しかし、それでは、正しくなかったということを他の人に理解させようと何か行動を起こすか、と聞けば、全員「ノー」だろう。アメリカ国内にいて、実際の日本人を見たことも感じたこともないアメリカ人には、人間的な共感は求めるべくもなく、ただ、理屈の上での議論で正当化するアメリカ人がほとんどなのだろう。アメリカを覆う独善性に心が暗くなる。

番組の最後の方で息子が父の上司だった元少佐にインタビューする。
「軍人は軍規の元に行動し、命令に従うことが求められる。従って、自分は感情を排除し、感情を刺激するようなところには近づかないようにした」という元少佐に対し、

「父は軍人としては失格だったかも知れませんが、人間としては正しかったと思います」

と言った息子の言葉が嬉しかった。アメリカの良心をここに見る思いがする。

080807花


8月8日(金) 晴、暑い


朝6時、ココをキャリーバッグに入れて散歩。おかーさんは朝食の用意で来ないから、金魚抜きのフンだけの散歩。

080808a.jpg

この季節、さるすべり(百日紅)が花盛りだ。

さるすべり

幼い頃、お袋が、「この木は表面がツルツルしてて、猿も滑るからさるすべりというんだ。危ないから登るんじゃないよ」とよく言っていた。夏中ずっと赤い花を咲かせているところから、中国では百日紅と表記したのだろう。


散歩中のIさんと出会う。ユンちゃんの代りにお孫さんを抱きかかえていた。息子さんのお嫁さんも一緒。ココをひとしきりなでてから、話もしないで行ってしまった。まだ、ユンちゃんを失った心の傷は深そうだ。

今日もネコと出会う。

080808ネコ1

また、にらめっことなる。

080808ネコ2

やっぱりアタシの勝ちだ。


夕方、勤めていたころの同僚との夕食会におかーさんと出掛ける。おかーさんもみな知っている連中だ。ココはお留守番。

080808c.jpg


昭和40年入社の5人と45年入社1人、それにおかーさんで合計7人。地下鉄銀座線「三越前」から歩いて3分のところにあるアナゴ料理の老舗「玉ゐ」で。

080808玉ゐ1


三越の隣には知らぬ間に日本橋三井タワー。思わずまたおのぼりさんになってカメラを取り出す。高層ビルを望遠で下から撮ったらどんな画になるんだろう。今度試してみよう。

080808日本橋三井タワー


「玉ゐ」では、骨せんべい、あなご巻玉子、穴子の海藻サラダ、穴子の佃煮、穴子の串焼きなど、次から次へと色々食べた。どれも忘れがたいうまさだ。最後にこの店のご自慢であろう、穴子の箱めし。

080808玉ゐ2

うな重よりもずっとさっぱりしていて食べやすい。これをお椀にとり出し汁をかけてお茶漬け風にしても食べたが、やはりお重の方が好きだ。

皆の話は、時の流れの速いこと、入社したのがついこの間のことのような気がする、ということから、5年後輩のY君に「僕たちの入社試験は1000人受けて25人採用という狭き門だったけど、5年後のお前の時は500人採用するつもりが2人しか応募がなくて、無試験で入社したんだそうだな」とからかう。Y君も負けずに「いやいや、先輩たちの時は、応募順にどんどん採用したって聞いてますよ」とやり返す。
気の置けない連中と美味しい料理を囲んで笑い通しの2時間半。鰻を食べたい食べたいと言っていたおかーさんも、アタシが付き合わないので我慢していたが、これで溜飲を半分は下げたようだ。

家に帰ると、ココはトイレシートをグシャグシャにして留守番の腹イセをしていた。

080808b.jpg
(ベッドですねるココ)



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シュナコカ
こんにちは~v-22

お知り合いのIさんの小文・・・非常に素晴らしいですね。
短い文の中にも、ユンカースちゃんへの深い思いが的確に感じられます。
ユンちゃんは、こんなに愛されて、とても幸せな生涯だったのでしょうね・・・。

NHKスペシャル、見ていませんでした・・・残念です。
この様な米軍カメラマンの方がいらして下さった事に、心から感謝をしたいですね。
周りから何と言われようとも、ご自分の感じた事を枉げずに一生を送られたとは・・・。
そして、その思いは確実に息子さんへと受け継がれたわけですからね。

最後の言葉が胸を打ちます・・・。

確かに、如何なる立場に置いても、人間として正しい行いをする方が、遥かに素晴らしい事なのですから・・・。


2008.08.10 14:14
ココパパ
I さん、とってもユーモアがあって、面白い文章を書く人なんですけど、ユンちゃんの死亡報告なる一文は、最後の瞬間とその後の葬儀について感情を抑えタンタンと正確にまとめあげています。
読んでいると先に逝った太郎の最後を思い出し、ついウルウルしてしまいます。
NHKスペシャル、感動しました。一方でまた核爆弾のもたらす悲惨さに戦慄しました。
「正義を貫く」とよく言いますが、何を持って正義とするかが問題ですね。国を守ることとか、組織を守ることとかが正義だと思いこんで、独善的になる人が多いと思います。でも、シュナコカさんがおっしゃるように、「人間として正しい行い」であることが究極的なは正義だと思います。
2008.08.10 15:31

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