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ブックサーフィン(2)

.09 2008 読書 comment(3) trackback(0)
2008年4月9日(水)

読書のお話、前回は「文章のみがき方」から始まって、

坂口安吾の「堕落論」、そしてよしもとばななさんまででした。

よしもとばななさんの本はこれ。

080409a.jpg

還暦をとうに過ぎたオジンが買うにはチト恥ずかしい

080409b.jpg

そう、ココが大のファンなんです。(ウソ)



この本はばななさんが公式ホームページに公開している、

彼女の日記をを本にしたものです。

書き出しから・・・・・

”2001年5月10日

ヒロチンコ(夫)と二時間も卓球。扉の陰から見ている人影があるとふたりとも「スカウトマンだ・・・」とつぶやき、突然やる気を出すという遊びがはやる。ばかなふたり・・・・・・。それにしてもヒロチンコはあまりにも卓球がうまい。こんな卓球がうまい人といっしょに暮らすことになるとは思わなかった(普通みんな思わないだろうけど)。
使い込まれてラケットもぼろぼろだ。そしてその柄のところには「ボールをよく見ること」とかいろいろ試合中の自分をはげます言葉が書いてある。子供の時に書いたらしい。くくく。”


のっけからドギモを抜くじゃありませんか。

放送禁止用語ですぞ。

080409c.jpg


夫の愛称だから、しょうがないか・・・・・

いたる所に登場するダンナだから、

いちいち隠し文字で書いてたらかえって気になっちゃいますからネ。



閑話休題、

彼女、子供の時から書いて書いて書きまくっていたそうです。

口でしゃべるよりも文章の方が先に出てきてしまったような文体です。

最後の”くくく”なんて、うれしくなります。


それにしても、登場人物の多さにはびっくりします。

080409d.jpg


たとえば、

5月22日の日記では

 ”葉子ちゃんの誕生日は明日なのだがタヒチに行ってしまうので、ランチをRiva degli
Etruschiにて。いつもながら本当にイタリアにいるような気楽さ、おいしさ、そしてサービスもすばらしい。外の噴水に亀を飼っているところも好き。
 それから小雪ちゃんの展覧会に行く。いつもながら変わった絵だ。本当に変わった人だ。でもなんだかよかった。小雪ちゃんとも三年ぶりくらいに会った。美しく細く面白く、全然変わらない。
 偶然東京に来ているパリのムッシュ竹内と合流。”


とまあ、こんな具合でポンポン飛び込んできます。

ちなみに、最初の10ページに登場する人の名前と素性を紹介すると、

ヒロチンコ: ばななさんの夫。卓球がうまい。
中西さん: ばななさんと同じ歳(とし)でシャープで文学的。ばなな本をよく読みこむ。
今村さん: ばなな本を本がふたつに割れるまで読んだ人。
菊池くん: バイトの秘書?昔ジャリタレでマックのCMに登場。
澤さん:  なんでもできる旅の人。文章がすばらしい。
松家さん: 新潮社の人。ばななムックの打ち合わせをする。
今泉さん: 新潮社の人。松家さんといっしょに、ばななムックの打ち合わせをする。
慶子さん: 秘書。ばなな家の子猫ウィリアムにぞっこん。
しーちゃん: ベビーシッター(ペットのか?)の上手な人。
ちえ先生: 教え方がうまくてやさしいフルートの先生。
健ちゃん: 出版界一の大食い。
根本さん: 昔太っていた。「カロリーも味だ」という。
高山なおみさんのだんなさん: 糖尿病。「梅干しとバターをいっしょに食べるのが最高」なんてことをいった。
孝くん:  スペイン在住。お母様が急逝。
結子:   乳がでかい。水着屋で、買うとも言っていないのに「バストがあう水着はここには一着もない」といわれる。
りゅうちゃん: お店をやっている。十九歳のときより今の方がずっとかっこいい。





この本を読んでいると、友達の同窓会になんとなく付いて行って、

間違ったところに来ちゃったというような気持になります。

080409e.jpg




ところで、この本、

よしもとばなな公式サイトを見れば、

買わなくたって同じような内容ならネット上で楽しめちゃいます。

まあ、通勤電車とか、寝床とか、トイレとかで読みたいという方は、

お買い求めになればよろしいんではないでせうか・・・・・




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.02 2008 読書 comment(2) trackback(0)
2008年4月

本屋でふと目に入ったこの本。

DSC07921.jpg


著者は朝日新聞の「天声人語」を書いていた辰濃和夫さんという人。

ブログの文章を磨くつもりで買ったわけではないのですが、

080402a.jpg

まあ、そ~ゆう魂胆も無きにしも非ずでしたが、

まえがきを眺めて面白そうなのでツイ買ってしまいました。

さすが、「天声人語」で長年鍛えた筆さばきです。

分り易い文章でぐいぐい引っ張られて、一気に読み終えました。

目次と引用した作家を見ると、大体の内容がつかめると思いますので、以下に示します。
(真面目に読むと疲れますから、飛ばして読んで結構です。興味のある方はどうぞ)

080402b.jpg


「文章のみがき方」目次と引用した作家

I 基本的なことを、いくつか
  1 毎日 書く      (吉本ばなな、古井由吉)
  2 書き抜く       (鶴見俊輔、 酒井寛、 井上靖)
  3 繰り返し読む     (村上春樹、 ドロシー・バトラー、 谷崎潤一郎)
  4 乱読をたのしむ    (加藤周一、山本周五郎、 藤沢周平)
  5 歩く         (永井荷風、 池波正太郎、 宮部みゆき、 室井滋)
  6 現場感覚をきたえる  (江國香織、 レイチェル・カーソン、 開高健)
  7 小さな発見を重ねる  (向田邦子)
II さあ、書こう
  1 辞書を手もとにおく    (井上ひさし、 浅田次郎)
  2 肩の力を抜く       (武田百合子、 川上弘美、 宇野千代)
  3 書きたいことを書く    (田口ランディ、芥川龍之介)
  4 正直に飾りげなく書く   (夏目漱石、大町桂月)
  5 借りものでない言葉で書く (井上ひさし、ポール・ゴーガン、HDソロー、芥川
                  比呂志、萩原葉子)
  6 異質なものを結びつける  (俵万知、 松尾芭蕉)
  7 自慢話は書かない     (姫野カオルコ、 北川悦吏子)
  8 わかりやすく書く     (水上勉、瀬戸内寂聴、中野好夫、浅田次郎、
                  佐藤忠男)
  9 単純・簡素に書く      (中野好夫、 ベルンハルト・シュリンク)
 10 具体性を大切にして書く   (竹西寛子、 ターシャ・テューダー)
 11 正確に書く         (井上靖、 河野与一)
 12 ゆとりをもつ        (小沢昭一、 藤沢周平、 杉山亮)
 13 抑える           (復本一郎、 井伏鱒二、 中野好夫)
III 推敲する
  1 書き直す          (板坂元、 宮本輝、 高村薫)
  2 削る            (太宰治、水上勉、瀬戸内寂聴、山口瞳、
                 大岡昇平、井伏鱒二)
  3 紋切型を避ける      (岡村太郎)
  4 いやな言葉は使わない   (甘糟りり子、 中野重治、 江國滋)
  5 比喩の工夫をする     (須賀敦子、 西加奈子)
  6 外来語の乱用を避ける   (多田道太郎)
  7 文末に気を配る      (井伏鱒二、 坂口安吾、 伊丹十三)
  8 流れを大切にする     (三島由紀夫、 木下順二)
IV 文章修業のために
  1 落語に学ぶ        (水川隆夫、 夏目漱石、 二葉亭四迷、檀一雄)
  2 土地の言葉を大切にする (藤沢周平、太宰治、深沢七郎、東峰夫、寺山修司)
  3 感受性を深める       (萩原朔太郎、山田無文、レイチェル・カーソン、
                   細川俊夫、三宮麻由子)
  4 「概念」を壊す       (谷崎潤一郎、南木佳士、 竹西寛子、芭蕉)
  5 動詞を中心にすえる    (長田弘、 夏目漱石、 村山由佳、 大野晋)
  6 低い視線で書く      (辰濃和男、ナンシー・ウッド、 小田実)
  7 自分と向き合う      (三島由紀夫、三好達治、熊谷守一、向井加寿枝、
                  小林秀雄)
  8 そっけなさを考える    (山口瞳、 熊谷守一、 森鴎外)
  9 思いの深さを大切にする  (丸谷才一、 大岡昇平)
 10 渾身の力で取り組む    (串田孫一、 石垣りん、 江國滋、 幸田文)



わずか240ページの新書版の本に、これだけ詰め込んであります。

文章の磨き方も学ぶところが多かったけど、

これまで読んだこともない作家もたくさん紹介されていて、

読書ガイドとしても参考になりました。読みたくなるような本が一杯です。

それで、本屋で見つけ次第、買った本がこれです。

DSC07922.jpg


坂口安吾については、辰野さんは次のように引用しています。

”それはさておき、安吾の『戦後文章論』(1951年)を読み直しました。これもまたすこぶるイキのいい文章です。
「私は文章上にだけ存在している現代の文章というものがイヤなんです。なぜなら、現実にもッとイキのよい言葉を使っているのだもの、習い覚えたペルシャ語で物を書いているような現代の文章がバカバカしくて、イヤにならない人の方がフシギなのですよ。そうではありませんか」(中略)
「当り前の言葉で大概のことが言い表せる筈ですよ。日常生活の言葉で文学論がやれないと思いますか。それだけの言葉では間に合わない深遠な何かがあるのですか」
「小説というものは、批評でも同じことだが、文章というものが、消えてなくなるような性質や仕組みが必要ではないかね。(大岡昇平、三島由紀夫の書いたものは)よく行き届いていて敬服すべき文章であるが、どこまで読んでも文章がつきまとってくる感じで、小説よりも文章が濃すぎるオモムキがありますよ。物語が浮き上がって、文章は底へ沈んで失われる必要があるでしょう」”


この最後の
”物語が浮き上がって、文章は底へ沈んで失われる必要がある”
というのを読んで、フト、歌でも同じことが言えるなと思いました。

物語を歌詞・言葉と置き換えて、文章を音符と言い換えれば、

「歌詞・言葉が浮き上がって、音符は底へ沈んで失われる必要がある」

ということになります。

朗々と声高らかに歌っているけど、心に響いてこない歌い手っていますよね。

080402d.jpg


本人は気持ち良さそうに歌ってますけど、

音符に割り当てたひらがなを追っかけているような歌い方で、

ちっとも情感が伝わらないのです。



ま、音楽の話は別として、坂口安吾という人の書いた文章に興味が湧いて、

本屋で探したら「堕落論」というのがありました。

読んでみると、著名人でも実名をあげてけなしたりして、確かにイキのいいところがあります。



ただ安吾先生の思考回路は、ポンコツ脳ミソのアタシには少々疲れます。

080402c.jpg


たとえば、

電車で空席に座ったらと声をかけても、お辞儀をしただけで、

席にかけようとしなかった小学生の男の子について、

”このような躾けの良さは、必ずしも生家の栄誉(えいよ)や富に関係はなかろうけれども、然しながら、生家の栄誉とか、富に対する誇(ほこ)りとか、顧(かえり)みて怖(おそ)れ怯(おび)ゆるものを持たぬ背景があるとき、凡人(ぼんじん)といえども自(おのずか)らかかる毅然たる態度を維持することが出来易(やす)いと僕は思う。”(後略)

こんな調子で延々と安吾先生のご説が続くわけで、

脳ミソがエンストを起こして途中下車です。

080402e.jpg


そこへいくと、吉本ばななさんの文章は分り易い。

「よしもとばななドットコム見参!」なんかブログ書くのに参考になるかと思ったけど、

ムリ!

こんな流行作家みたいに毎日が変化あるわけじゃないし、

登場人物も多彩ではない。レストランだってそんなに行かない。

でも、文体としては、歯切れがよくて読みやすいんです。

文章が短いからなんでしょう。

このへんは参考にしても良いのかも・・・・・。



オット、だいぶ長くなってしまいました。

この続きは又の機会に譲ることにいたしましょう。


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